アイデンティティの共有
速に成長を遂げた後、当社では競争力を広く増強させる必要がありました。そのために、1982年にレイモンド・ウェイルの義理の息子であるオリヴィエ・ベルンハイムが入社し、そこからファミリービジネスが始まったのです。彼は構造と組織を刷新し、数多の市場を開拓し、コミュニケーションやマーケティングに関する部署を取り仕切りました。彼が加わったことで、ウィルが大切にした独立性のある家族経営企業という理想が強化されました。オリヴィエ・ベルンハイムは、1996年に社長兼CEOとなりました。
このブランドは常に音楽の影響を受け、音楽にインスパイアされてきましたが、1983年時点でそれはコレクション名に反映されていました。オーストリア生まれのクラシック作曲家モーツァルトにちなんで「アマデウス」コレクションと名付けられ、ミロス・フォアマンによる同名の映画に合わせて発表されました。音楽にインスパイアされたコレクション名は、他とは異なる当ブランドならではの特徴となり、その後間もなくベートーヴェンの唯一のオペラ作品にちなんだ「フィデリオ」や、「トラヴィアータ(椿姫)」や「サクソ(Saxo)」が発表されました。
「トッカータ」、レディースコレクションの「ファンタジア」、ブランドを象徴する「オセロ」といった、もっとカルト的なコレクションによって、ブランドの個性が形成されていきました。「オセロ」は、前衛的なテクノロジーと洗練されたデザインを極薄のタイムピースと融合させ、レイモンド・ウェイル10周年を記念して1986に製作されました。